今回の「アンテナ温度」は説明文を書くための資料集めに難儀した。元々が電波天文学用語なんで、あんまし実用的な用語と違うかったことが原因なんやなかろうか。
アンテナ温度
antenna temperature
電波天文学や宇宙通信工学で用いる、アンテナの指向特性や信号対雑音 (S/N ) 比を表現する温度のこと。
〔詳説〕天体などから飛来する電波の単位周波数当たりのパワーを雑音温度で表した値であり、、アンテナ温度 Ta = Po/k ( Po は単位周波数当たりの受信エネルギー、k はボルツマン定数)または Ta = SvηA/2k ( Sv は単位時間・単位体積当たりに入射する単位周波数当たりのエネルギー(フラックス密度)、A はアンテナ断面積、ηは開口能率、2で割っているのは偏光による受信への影響を加味したことによる)である。なお、アンテナ温度をアンテナ系の雑音温度で除した値によって、電波望遠鏡や地球局などの S/N 比が求められる。この値は一般に1よりもはるかに小さい。
→雑音温度
〔補説〕天体から放射される電波の輝度温度を Tb とすると、アンテナ温度 Ta は、Ta ≃ TbΩ/Ωa と近似的に表せる。ここに、Ωは天体から放射される電波の拡がりを表す立体角、Ωa は受信アンテナのメインビームの立体角である。
→輝度温度・メインビーム
(本文ここまで)
衛星通信が一般的になったけども、アンテナ温度が分からんと宇宙通信の仕事がでけん。せやけど、ネット空間を含めて世間にはアンテナ温度の簡単な説明がなかなかあらへんから困るねんな。
ところで、〔補説〕欄の説明によると、Ωa がデルタ関数状になると、アンテナ温度が発散して、S/N が無限大になる。つまり、アンテナの指向性が鋭いとノイズの少ない受信がでけるて理解すればエエねんな。現実にはメインビームがデルタ関数になることはまずあり得んし、サイドローブの影響もあるさかい、ノイズを0にすることは不可能に近いんやけどな。