E-BOMBERのアホアホブログ

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わしの鉄道事情大研究・電気機関車(9)

もし仮に、羽越・信越線の日本海縦貫線構成部分が例外なしに交流化され(当然越後線弥彦線白新線も交流)とって、青森ー米原間で交直流機の出番がいらんかったとしたら、シリコン整流器を搭載した EF70 が86年までに全車休車の憂き目を見ることはあらへんかったかも分からん。今や交流電機が生き残ったあるんは海峡線の EH800 とかぐらいで、東北線のエース ED75 は交直流機 EH500 にあらかた置き換えられ、ED76 は置き換え用電機がなかなか決まらん。

 

交流電化区間と直流電化区間が入れ替わり立ち代わり存在する日本海縦貫線で交流専用機なんか使いにくいに決まったある。せやけど、新潟地区を交流化したら、上野発の特急「とき」や急行「佐渡」にも高価な交直流電車を投入せざるを得んようなり、当時は貨物列車の設定が多かって、補機連結区間もあった上越線にまで交直流機を投入しやんとあかんようなり、それはそれで国鉄としては頭の痛い状況なっとったやろう。

 

さて、交流電機は間接式で発展し、それには水銀整流器(イグナイトロン・エキサイトロン)が搭載されとったと前に書いた。この水銀整流器は水銀の平坦な液面を陽極とした一種の真空管で、液面を利用しとるだけあって保守が大変な上に振動に弱く、地上設備の交直変電所はともかく、そもそも鉄道車両に搭載すること自体が問題やった。

 

この問題を解決したんが半導体や。東北大の西澤潤一先生の研究グループが開発した pin (半導体の pn 接合の間に真性半導体(i 型半導体)を挟んだ構造)ダイオードが大電力整流器に用いられ、上記の EF70 に初めて搭載された他、既存の交流電機の水銀整流器はこれに載せ替えられた。このシリコン製の整流器には水銀整流器のようなインバータ機能があらへんので交流回生ブレーキは使えんようなったが、保守の省力化などそれを差っ引いても余りあるメリットがあった。

 

半導体技術は交流電機との相性が良かったみたいで、無接点スイッチングがでけるサイリスタが交流電機の制御装置に用いられようなり、ED77 に初めて採用された。これにより保守の省力化がさらに進み、ED78 では完全無接点化が達成され、再び交流回生ブレーキ動作が可能になった。このときが交流電機の絶頂期やったて言えるやろう。

 

ところが、転機は1980年の試作インバータ電車の完成によって訪れたんやな。これまで主に交流電機の性能向上のために用いられてきたこれら電力用半導体が直流電気車にも用いられ、70年代中頃には直流通勤型電車にもサイリスタチョッパ制御方式が導入されるようなってた。インバータ制御はチョッパよりもさらに省エネ性の高い制御方式で、交流電動機の回転数を粘着性能が最も取れるような周波数(回転数)に制御でけるんで、電車にも電機にも使える制御方式や。この技術が直流電機に応用されるに及んで、直流電機の性能が交流電機を逆転してしもた。

 

交流電機の性能向上のために開発された半導体技術が交流電機の優位性を奪う皮肉な結果になった訳やけども、事は機関車だけでは済まなんだ。直流電化の最大の欠点やった交直変電所にもシリコンデバイスが応用されるようなり、無人変電所まで現れてさらなる省力化が図られた。こないなると地上設備の経済性まで直流が有利になり、先述のように七尾線が直流電化された理由はここにもありそうや。

 

結局のとこ、直流電化の方が経済性が高いことが分かったが、交流電化区間を挟むことによって直流区間がブツ切りにされ、直流電化のメリットも交流電化のそれも活かせん鉄道網と、高価でありながら性能が中途半端な交直流車両がでけただけやった。日本は商用電源の周波数を東日本 50Hz、西日本を 60Hz に分割してしもたことによる弊害を取り除くどころか、電化方式をもバラバラに採用し、さらなる禍根を残すことになってしもたんやな。

 

JR西は新快速電車を敦賀まで運転する目的で北陸線の部分的な直流化を行ったけども、その後はその種の動きは見られん。それ以上直流化することによる経済効果があんまし期待でけんこともあるやろうし、さなぎだに鉄道事業が長期低落傾向にある中で設備投資に慎重にならざるを得んやろな。

 

さはさりながら、交流電気車は直流電気車よりも高価であることに変わりはあれへんし、どこぞで新幹線がでけるとその代償として並行在来線がJRから切り離されるけども、それには交流電化区間が少なからずあって、後継の第三セクター鉄道事業者に保守コストの高い車両と地上設備とが押し付けられてまうねんやんけ。JRは不採算部門を手放して身軽になれるねんさかい、せめてもの償いとして、並行在来線直流化事業の負担をせえと言いたい。まあムリやろけどな。一体この問題どない解決したらエエねやろう?(つづく)