E-BOMBERのアホアホブログ

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わしの鉄道事情大研究・電気機関車(3)

電気機関車にせよ電車にせよ、初期の電気車の走り装置は吊り掛け駆動式やった。吊り掛け式は主電動機を含む駆動系の全てが動輪台車に吊り掛けられてることからの呼称で、構造が単純で安上がり、車輛の保守が極めて楽で信頼性が高い、大型・高出力の主電動機を搭載でけるなどの利点がある。欠点は、その単純な構造の故に電動機由来の振動がほぼダイレクトに車輪に伝わり、軌道を破壊する度合いが大きいこと。逆に、レールの継目や分岐器からの衝撃も主電動機に伝わるんで、主電動機を頑丈にしやんとあかんこと。頑丈で重い主電動機を搭載するんでばね下重量がめっちゃ重たなり、高速走行するとこれまたえげつない軌道破壊を起こすこと、などである。

 

せやから、欧米など標準軌広軌の国では、吊り掛け式の代わりに、ばね下重量が軽なって振動が伝わりにくいクイル駆動式やその改良型のリンク駆動式が採用されたある。一方で日本や南アなど狭軌の国では、機関車に大出力の主電動機を搭載しにくいんで、信頼性を重視して吊り掛け式を採用する傾向が強い。

 

ところで、狭軌の日本でもクイル式やリンク式を採用した機関車が複数あった。新型式電機第一弾の EF60 (一次量産型)はクイル式で新造されてんけども、設計不良から振動を吸収するスパイダ部分に異物が挟まることが原因の異常振動が頻発し、早々に定期運用から外され、二次型以降は吊り掛け式にされた。

 

第二弾の EF61 (初期型)もクイル式で新製されてんけども、これもやはり異常振動の発生に悩まされ、後年リンク式に改造されたけども、根本的な問題解決にはならなんだ。しかも今度は客車暖房用の SG (蒸気発生器)が原因で車体に錆が回ってしもて、先輩の EF60 よりも先に全廃されてしもた(旧型電機の EF58 にも SG は搭載されとったが、ゴハチは外板が分厚かって致命傷にならなんだ)。支線区用 ED60 やその改造機 ED61 その他でもリンク式は不首尾に終わり、幹線用標準型式の EF65 には吊り掛け式が採用されることになった。平成の世になって、EF200 はリンク式で登場したけども、「桃太郎」の EF210 でまた吊り掛け式に戻された。一体どないなっとんやこれわい?

 

それにしても、何でまたいきなり急行客車用の電機にクイル式やリンク式を採用したんやろか?同様な事例として、3シリンダ式を急客蒸機 C53 に採用して失敗したことがあった。確かに多シリンダ式蒸機は欧州急客機の代名詞やろうけども、タンク式蒸機の高出力化が無意味とは言えんし、それに多シリンダのメリットは別に高出力化だけやあらへん。機関車の不釣合い重量が低減され、ピストン運動に起因する動輪のハンマーブロー(槌打力)の軽減にもなって、線路保守の省力化に役立った可能性がある(つまり、クイル式やリンク式採用と同様の効果やな)。

 

これはつまり、欧米鉄道先進国で早い段階で採用されとった先進の技術を導入することを急ぎ過ぎたことの弊やろな。齋藤晃氏の主張するように、3シリンダはまずタンク式から始め、フィードバックを重ねもってミニテンダ機・ライトパシフィック機とステップアップして、最後に急客機用ヘビーパシに採用すれば良かってんかもな。電車でカルダン駆動式や WN 駆動式がわりかしすんなりと成功したんは、比較的小出力の主電動機で駆動系の負担が小さかったからやろう。せやさかい、まずは地方鉄道用の電車から試すんが定石やろな。以上、少々結果論的な話の進め方にはなったが、C53 とおんなし轍を踏んだと言えんこともナイやろう。

 

せやけども、今からでもリンク式電気機関車の開発は決して無意味やあれへんやろよ。電気機関車製造を行う東芝や三菱・川重などは、他の車両製造会社と協力してでも、遅まきながらリンク式電車の開発をした方がエエやろう。(つづく)