E-BOMBERのアホアホブログ

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(委員会NP)死刑廃止には一応反対の立場やけどな(12)

捨て駒いち」「俺の空・刑事編」(北芝健原作)を読むと、政界・財界・圧力団体と警察の間の微妙な関係が分かって、そのおどろおどろしさに怖気を振るてまう。どれか一つが突出してまうとその「良好な関係」が崩れてしもて、丸く収まるモンも丸く収まらんようなってまうんやろな。

 

通常の場合、警察(特にノンキャリア組)は大物政治家の前には手も足も出ず、屈辱の臍を嚙んでるんやないかて思う。小川泰平元刑事によると「公選法違反者を挙げると表彰される」そうやが、臆測するにそれは「普段首根っこを抑えつけられてる立場の議員や議員になりそうな奴を召し取ったことで得られるカタルシス」なんか、それとも「司法と行政は我が意のままになるが、普段は意のままにならん立法を懲らしめられたことによって得られる満足感」なんか、いずれにせえ大人の不健全な世界の中での「一服の清涼剤」であることに違いはあんめえ。あーやだやだ。

 

そないな大人の事情があるんやったら、「公選法違反容疑者は警察の裁量で決められる」んもまた当然のこっちゃろう。これと似た事例として、「売春疑獄」で読売新聞記者を不当逮捕した岸本義広・元東京高検検事長による公選法違反事件がある。詳細は本田靖春不当逮捕」(岩波現代文庫)その他を参照されたい。

 

岸本はこの連載の前々回で触れた平沼騏一郎ら「検察ファッショ勢力」の流れを汲む「思想検事」乃至は「公安検事」の大立者で、「特捜検事」の馬場義続と検事総長を争うライバルやった。総長レースは不当逮捕が祟ったんか馬場に凱歌が揚がったが、馬場率いる特捜に痛い目遭うて来た自民党の連中は馬場に復讐の機会を窺っておった。そこで60年に岸本が定年退官したとき、自民の大物が岸本に、「当選したら1年生議員でも法務大臣にしたる。ほんで馬場をいてまえ」てケツかいて、岸本は第29回衆議院議員総選挙に自民公認で旧大阪5区(泉州エリア)から出馬することなった。

 

岸本は自民の大物政治家の支援を得て、同区で最下位ながら当選する。が、それとばかりに馬場の意を受けた検察官による選挙違反捜査が始まり、翌61年、公選法違反でまんまと大阪地検特捜部にパクられた。岸本は次の総選挙で得票数を大幅に減らして落選し、しかも64年に有罪判決くろた上に3年の公民権停止が下され、控訴したものの翌年増富温泉で客死した。

 

岸本のやらかした買収行為に一片の同情の余地はあらへんにせよ、警察も検察も捜査権を我がの都合のエエように運用しよるえげつない役所やちゅうことがよう分かるやろう。政界の大物が世間の人が眉を顰めるような事件を起こしたときに「ガンバレ○○地検特捜部」やなんて煽り文句つけるメディアあるけどもトンデモナイ。検察は時には無辜の民にも牙を剝く役所やちゅうことを、世間の皆さんには理解してもらいたい。(つづく)