電気屋の中でも、特に音響屋は機械回路を扱うんで、機械のことを少しはしっとかんと仕事にならん。音響工学にはあんまし関係ないが、その電気系と機械系とのインターフェースの一種に圧電アクチュエータがある。
圧電アクチュエータ
piezoelectric actuator
電気エネルギーを機械(力学)的エネルギーに変換し、及びその逆の変換を行う電子デバイス。誘電体に電場を印加することにより生じる機械的なひずみ(逆に、応力を印加して機械的なひずみを発生させることにより生じる電場)を利用している。可変形鏡やドットインパクト型プリンタ、印字機などのヘッドに応用されるほか、気相エピタキシャル成長装置などのガス流量制御用のマスフローコントローラや光ファイバの光軸調整にも用いられる。
〔補説〕誘電体に電場を印加したときに生じるひずみ量が電場に比例する場合を圧電ひずみと言い、それが電場の二乗に比例する場合を電歪(でんわい)と言う。前者のものを圧電アクチュエータ、後者を電歪アクチュエータと称する。消費電力が電磁アクチュエータよりも1桁程度低いなどの特長がある。
→圧電効果・電歪
原理的にはブザーやスピーカなどの電気音響変換器と共通であるが、アクチュエータは大きな応力を発生させる目的で用いられるので、それらよりも高い電場が印加される。このため、ひずみ量が大きく、しかも機械的強度と絶縁破壊電圧がともに高い材料を用いる必要がある。圧電アクチュエータの代表的な材料は PZT (ジルコン酸チタン酸鉛)を母材としたもので、同じく電歪アクチュエータでは PMN (マグネシウムニオブ酸鉛)系材料がある。
→電気音響変換器・ PZT ・ PMN
(本文ここまで)
圧電アクチュエータでは精度数十ナノメートル程度の制御性があるんで、べらぼうに大きい応力を必要とする精密加工には便利そうなデバイスやな。他にも、ビデオカメラの手ブレ補正やら X-Y ステージの微調整やら、用途は結構広いねんな。