電子の学生はコースにもよるが4年なったら研究室内の輪講とかで半導体のpn接合についてみっちりと仕込まれる。この時によう使われる参考書の著者の名はS・M・Sze氏で、通称「SMじいさん」である。
アバランシェ効果
avalanche effect
半導体のpn接合に逆方向バイアス電圧を印加した場合や、半導体結晶に高電界を印加した場合に発生する絶縁破壊現象の原因の一つである。
〔詳説〕半導体のpn接合のp側に正の電圧を、n側に負の電圧をそれぞれ印加する逆バイアス電圧の値を徐々に増加した場合、まず価電子帯の価電子がクーロン力によって原子核から引き離され、室温程度の熱エネルギーで伝導帯に励起され、自由電子になる。また同時に価電子帯には自由正孔も発生し、キャリア数の増加による絶縁破壊が生じる(ツェナー効果)。
→ツェナー効果・pn接合
さらに逆方向電圧を高くすると、このツェナー効果によって発生した電子と正孔が空間電荷領域においてその逆方向電圧で加速され、他の原子の価電子に衝突してこれを殻外にはじき出し、新たな自由電子と自由正孔を生み出す(衝突電離)。これらのキャリアも加速されてさらに別の原子の衝突電離を引き起こす。これが次々と繰り返されてキャリアが増倍する現象のことをアバランシェ効果と称する。アバランシェ効果によってキャリアが劇的に増加することによる絶縁破壊をアバランシェ(なだれ)降伏という。マイクロ波発振用のアバランシェ(インパット)ダイオードや、光電流増倍用のなだれフォトダイオードなどに応用される。
→衝突電離・インパットダイオード
(本文ここまで)
輪講では指導教官がいる時は教官が直々の指導をすんねんけども、たまに不在の場合には院生が学部生らを指導することがある。これによって、院生の方も実力をつけて行くことになるねんな。