E-BOMBERのアホアホブログ

アホなことであろうが何であろうが、わしは書きたいことを書く。ガンバレ○神タ○ガース!

東大卒も認めた東大のアホさ加減(1)

 先々月、「(軍事研究禁止)東大はアホか!」と題したブログを、僭上にも東大やなしに私立無名校出身のわしが書いた所、東京大学大学院工学系研究科(物理工学専攻)出身の畏友からメールを頂いた。彼女はこのブログの数少ない読者の一人で、これまで何度も有益な指摘を頂戴してる。この下品なブログに引っ張りだすんもどうかと思たが、説得力上がるし、少なくとも箔がつくんは間違いないんで引用さしてもらいまっさ。

 彼女によると、まず、もし東大で軍事研究ができないとなると「精密機械工学科(元造兵学科)の立場はどうなる」「ゲーム理論・オペレーションズリサーチ・システム工学もやっちゃいけないの?」とのことで、専門的な立場からの同意を頂いたんは心強い。

 造兵学言うても今の若い人にはピンと来ェへんやろが、これはコイン作るとこや(それは桜ノ宮造幣局や)なしに、兵器を研究・開発するための学問や。理研の三代目所長の大河内孝敏が造兵学者として著名やな。造兵学の隣接分野に造船工学があるけど、戦艦大和を設計したことで有名な平賀譲中将は、自ら設計した艦船がトップヘビーなることを極力避けるために兵科の要求する重兵装に度々大なたを振るった(「平賀不譲」て呼ばれとった)ことから兵科に嫌われ、しかも遠慮会釈なしに部下を罵倒するさかい造船部内からも煙たがられて艦政本部を追われ、海軍技術研究所長の閑職を経て東京帝大総長(「平賀粛学」でしられる)なってんやったな(後に「友鶴事件」で設計主任藤本喜久雄の失脚を受けて艦政本部に復帰)。戦前には東大造船・機械・火薬から陸海軍に優秀な人材を送り込んでたことも見逃したあかん。

 ゲーム理論応用数学の一分野で、中長期的な戦略にも局地的・短期的な戦術にも活用できる、正に現代の学問やな。数学屋の立場から将来や今まさに行われようとしてる戦争を分析し、その結果を社会一般に問うことの意義は大きいやろう。理論的に不利な戦争をするんはアホやからな。それに、これは戦争だけとちごてビジネスなど平和的な用途にも活用でける学際領域の学問であることを特に主張しとく必要がある。ちゅうか、軍事学自体が広範囲な学問分野と隣接する学際領域で、軍事と非軍事の境界が不明確になっとることは東大自身も認めてはおるがの。ともかく軍事史経営学の優れた参考書でもあるんでバカにはでけん。

 オペレーションズリサーチは情報・管理・経営工学などに属する学問分野で、数理計画(論理数学などを用いた計画法)技法とかがこれなんやな。軍隊だけやなしに、あらゆる組織の意思決定に用いられるさかい、これもゲーム理論同様に学際的な学問やな。造兵学もせやけど、先の大戦中に長足の進歩を遂げたそうで、旧日本軍はこれを疎かにして精神主義に陥ってしもたから負けたんやろの。対米和平交渉が不発に終わったんもせやなかろうか。戦争は始めるんは簡単やけど、軍配を上げるんがいっちゃん難しいとは、大山巌の指摘するとこである。戦争はないに越したことはあらへんが、戦争になってしもてから慌てふためいて徒に犠牲を増やすような愚行は絶対に避けんとあかん。

 システム工学も情報・通信系の学問やな。軍事への応用方法としては、ある組織が所有するシステム(軍隊であれば大砲・戦車・軍用機などの「軍事デバイス」の他に兵力など人的資源も含まれる)をどないな具合に配置して利用すれば、その効果を最大限に発揮でけるようになるんかを考究するもの言うた分かりやすいやろう。WW2時の日本では陸海軍が並立し、しかも反目し合うたことから軍事力が分裂し、勝ち目のある戦争を自ら敗戦に突き進んだことが戦史研究家の児島襄によって指摘されてる訳やな。海戦の空戦化は真珠湾から始まった(山本五十六がこの戦法をわざわざハワイまで米軍に教えに行った感がある)言われるが、この学問に基いて陸軍機を海軍機に改造配備でけんかったんも痛かった思う。せやさかいに、21世紀にもなってまだ「先の大戦は物量で負けた」言うとる奴は救いようのないアホである。

 彼女の指摘は示唆に富んでてしかも含蓄があるんで、これだけで数回分の連載になりそうや。(つづく)