E-BOMBERのアホアホブログ

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「新しい日本の歴史」はやっぱしあかんかった(35)

 「明治14年の政変で大隈は政界から追放されたが、政府は国会開設は不可避とした」ちゅう行も、歴史の初学者には俄に納得でけんやろう。これは、開拓使官有物払下げ事件は世間の憤激を買うて、政府もそれを無視でけんかったからや。輿論から超然としてたはずの江戸幕府かて、常に町人の落書・落首などからプレッシャーを受けとってんからのう。




 国会を開設するて決まったからには憲法を制定しやんとあかんようなって、色々な人物によって私擬憲法が書かれるようなった。私擬憲法言うたら真っ先に浮かぶ名前は植木枝盛やのに、彼の条文が1本も紹介されんで、「五日市憲法」だけが載るちゅうのんはどうかと思うぞ。しかも、この憲法私案の特徴は、現行憲法に近い人権についての条項があることで、皇位の継承についての条文がそれよりも重要であるとは到底思えん。それに、憲法言うたら天皇など権力者の権能を制限するためのモンやのに、それについての説明がいっこもあらへんのんも初学者用の教科書やのにあかんこっちゃな。この教科書読んでも上杉慎吉程度の憲法学者が限界で、美濃部達吉にすらなれんやろうなあ。左右中道いずれの思想の人材も養成でける教科書が理想なんではあるまいか。




 華族制度導入と貴族院の設立によって、西園寺公望(公爵)のように桂太郎とつるんで政権のたらい回しをするような男が首相になり、同様に近衛文麿(公爵)みたいに難局に際して簡単に政権を放り出すような奴に政界進出の道を開いたちゅう弊害を書かんでどないすんねんアホ。




 明治憲法の問題点について触れてへんのもあかん。それに、旧憲法には元老どころか内閣についての規定すらあらへんかったちゅう、最も大事なことを書いてへんのやから論外である。新憲法にも少なからず問題はあるが、旧憲法立憲君主制国家の憲法であることを差し引いても、決してデキのエエ代物やなかった。植木枝盛の私擬憲法と比べても見劣りする憲法だとする意見もあろうし、生徒にこれらを読み比べてもうて、どっちゃがより憲法として優れてんのか判断さすぐらいでなかったら民主的な教育とは言わん。




 わしも自由主義や民主主義が絶対の正義であるとまでは言わんが、この教科書の執筆者は自由と民主主義の敵なんかもしれんのう。(つづく)