E-BOMBERのアホアホブログ

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「新しい日本の歴史」はやっぱしあかんかった(19)

 理想的な教科書とは、教師の質のバラつきの問題を吸収して、誰が教えても教育の結果に大きな差がつかんようにしたモンやないかて思われるんやが、この教科書にもそんな効能は期待でけんようやの。




 江戸期は、次代の飛躍のための準備期間としての意義は大いにあったやろうが、同じく次代に負の遺産を残した側面もある。米本位制と金銀複本位制の並立の失敗がそれやな。ここまではっきし書かんと中学生は理解でけんど。過去の失敗を失敗と書かん教科書は教科書に非ず。




 株仲間ちゅう制度も、特定の御用商人を肥え太らし、わが国の商品流通の複雑怪奇な仕組みを作り上げ、後の世の自由競争社会にも微妙に影を落としてることを指摘しやんとあかんがな。大企業が中小企業のサポートなしでやってけん現実を教えたるぐらいでなかったら、世の中は決して良くはならんやろう。




 それに、藩札の説明にも疑問を覚える。いっと最初に藩札を発行したんは越前福井藩(実は備後福山藩やったとする記録もあり、現在では福山が定説)やが、福井は米価の下落のみならず、支藩分与や藩主の減封で次第に藩財政が窮乏して、しかも暴れ川の九頭竜川に度々悩まされてて、その治水工事の財源を搾り出すための窮余の一策として藩札発行に踏み切った事実がある。つまり、藩札は幕藩体制の矛盾の象徴的な存在やちゅうことをはっきりと示す必要があんのに、ここでは全然そないなっとらんがな。




 何で江戸期の日本が金銀複本位制にしたんかの説明もなかったらあかんやろう。周知の通り、佐渡相川金山が江戸の金本位制を支え、但馬生野銀山の存在が上方の銀本位制の基本になってんな。国内での本位貨幣の分裂もあって、国内においても金銀相場が必要なって両替商がでけて、これが現在の銀行の母胎んなったちゅうことをちゃんと言うたらんと、何のこっちゃ分からんままやがな。




 18Cになると農村人口が停滞すると書くからには、その原因が火山噴火が招いた寒冷化による飢饉やと付け加えんと分からんやろが。歴史ちゅうのんは、後世に教訓を残すものでなかったらあかん。




 さなぎだに、社会科の先生には数字に弱いんが多い。せやのに、教科書がこんなんでは、数字と無縁と違う経済のことちゃんと教えれるんか甚だ心許ない。(つづく)