E-BOMBERのアホアホブログ

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放送技術的側面から見た地上波アナログ放送終了

 今日(24日)正午、地上波アナログテレビ放送が一部の地域を除いて終了し、「地デジ」放送に完全に置き換えられた。このことについての一般の反応はさまざまで、中には「何でお上の意向でムリからテレビ買い直させられやなあかんねん」ちゅう、ある意味「貴重な意見」も垣間見られる。こういうのんもふんまえつつも、今回の「地デジ化狂騒曲」を、わしの乏しい放送・通信技術に関しての知見を織り交ぜながら観察してみたい思う。


 地デジ放送化と従来の地上波アナログ放送終了は、別に総務省がテレビ視聴者にメーワクかけること目的にしたモンではない。「限りある電波資源の有効活用を図ること」を目的に掲げとるし、それは一応スジは通ってる。


 旧来の放送技術は、限りある電波資源が有効活用されとらんように見られるんはしゃあない。それは、中波放送を例にするとわかりやすかろう。


 中波放送には、AM(振幅変調)という技術が使われてるんは周知の通りやろう思う。AM放送は、放送を通じての国民一般の娯楽にある程度応えられるようにする目的で、再生周波数帯域を最高4000ヘルツ程度は確保する必要がある。4000ヘルツが最高なんで、人間の声は再生でけても、スズムシの鳴き声は再生でけん。ナ○トスクープで鈴虫寺の虫の声が電話越しに聴こえんのは何でかてやっとったけど、電話は人間の声さえある程度の音質で伝わればそんでエエんで、そない広い周波数帯域はいらん。ちゅうか、帯域広すると「限りある電波資源のムダ使い」なってまうからや。


 AM放送が9kHz置きに周波数が割り当てられてるんには理由がある。搬送波周波数666kHzのNHK大阪第一放送(JOBK)の場合、伝えたい音声(変調波)の周波数帯域がゼロ(DC)-4500Hz(混信などを避けるため、実際はもっと狭い)で、搬送波と変調波をある種の「乗算回路」に導いて、その出力として「被変調波」を取り出し、これをアンテナに導いて放送すると思たら大きな間違いやない。


 搬送波周波数をfc、変調周波数をfmとしたら、振幅を無視して、時間(t)領域で搬送波はsin2πfct、変調波はcos2πfmtと表現でける。正弦・余弦関数の積は、高校の数学で習たように、2sinxcosy=sin(x+y)+sin(x-y)の公式をつこて、


 sin(2π(fc-fm)t)+sin(2π(fc+fm)t)


て表現でける。変調波fmは帯域を持つんで、上の式で表される被変調波は、搬送周波数を中心とした幅2fmの帯域を持つことになる。このうち第1項を下側波帯(LSB)・第2項を上側波帯(USB)ちゅうねんな。


 このとき、JOBKの被変調波は661.5-670.5kHzの周波数帯域を「占有」してることになる。BKの空中線電力が100kWもあることもあって、日本国内では他のAM局にこの周波数帯域は割り当てることがでけん。電話やAMラジオの音質を上げたければ帯域を広げたったらエエねんけども、それやと限りある周波数をムダ使いしてまうことになるんで、昔から電話の音質があんまし変わらんのはこれが原因やねんな。


 ここで、単にモノラルの音声を放送するんが目的やったら、LSBかUSBのどっちか片方つこただけ(SSB)で十分なんで、AMステレオ放送が終了した今となっては、なおさら周波数帯域をムダ使いしてることが気になる(ただ、終了したAMステレオ放送は両側波帯(DSB)を利用したやつではないことには注意を要するが、原理的にはステレオ放送に応用は可能である)。ところが、現在普及してるAMラジオでは、DSB方式の電波は受信でけても、SSB方式の電波には対応でけん。せやさかい、中波の電波の有効利用を国民に協力してもらおうて思たら、国民にSSB受信でけるBCLラジオみたいなんに買い替えてもらうしかない。


 今度の「地デジ狂騒曲」は、音声記録メディアがCDとMDやったとこにフラッシュメモリが新しいに付け加わって選択の幅が広がったみたいなんとちごて、これまでつことったテレビやビデオとかが一斉に使えんようなったちゅう特殊性がある。今日を境に泣く泣くテレビを見るのを止めざるを得んようなった人が続出してる思う。福祉の力である程度は解決でけるやろうが、これを機会に「テレビ卒業」を決めた人も相当数おるのは間違いあらへんやろう。この理由は番組の魅力の低下とか、経済力や技術の外に原因が求められる場合が多いとは思うが。


 地上波アナログが終わって空いたVHF帯域の一部をデジタルラジオに使おうかていう話らしいんやけどな、これが果たして電波の有効利用に適うモンなんかは、別に検証が必要なるやろう。地デジと似たように、高音質と双方向性を充実さすことを考えてるんやろうことは想像でける。しゃあけど、ラジオは、従来の固定電話と相俟って、早くから双方向性を実現しとった。その意味での「双方向性」はテレビの電話インタビューでも実現は可能やったが、アナウンサーが現地と電話でしゃべってるだけのシーンを見てると、やっぱし何か抜けてる感じは否定でけんねんな。


 この他にも、地デジ化の煽り喰って、見れるチャネルが減ってしもた地域があちこちに出てきてる問題があるそうやな。UHFはVHFよりも指向性が強いし、しかも遠くに飛びにくい性質なんで、これはある程度しゃあない面もある。ところで、泉南在住のネコ基地外アウトローが、「わしんとこでもサンテレビ見れるようにせえ。せやなかったら暴れたるぞ」言うたから泉南地域でも○神の試合が見れるようなったちゅう伝説がある。事の真偽はともかく、これは参考になる話やろう。でも、こんなんでは脅迫罪・威力業務妨害罪に問われる可能性があるんで、住民の出資で中継局アンテナ建てるとかの穏便な解決方法をお勧めしたい。ただ、総務省の放送免許とかの兼ね合いで、局の近隣にも関わらず、わざと電波飛ばんようにしとるとこもあるやに聞く。まだそんなアホで無意味なことしとんのかィ。