E-BOMBERのアホアホブログ

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(震災・半導体不足)「顧客第一」も考え物やな

 震災では、半導体製造部門が大打撃を被り、集積回路(IC)が品薄になってる。ルネサスでは、5月末には在庫が払底してまうというが、これも原発事故同様にして「天災」やなしに「人災」なんは明らかやな。


 ICの中でも、システムLSIちゅうんは、顧客が仕様をカスタマイズでけるんが結構あるが、まずこのカスタマイズちゅうんがくせ者やねん。そんだけでも、「多品種少量生産」ちゅう非効率につながってしもていかんし、非効率だけやなしに、今度の品薄を招いた一大要因ちゅうことはまず間違いあらへんな。この「非効率」は、ルネサスを大赤字企業にしてしもた要因でもあり、社長も不採算品種の整理の必要性を認めてる。


 どこがどない非効率でリスクに弱いかは、もう少し詳細に説明しやんとあかんわな。ここでは、システムLSIの一種であるマイコンを例に取って見ていくか。

 マイコンは言うまでもなしにマイクロコンピュータのことで、今や家電・自動車なんかには欠かせん部品である。その構成は大雑把に言うて、マイコンとして最低限これがなかったらあかん「コア(core)」と、コアにはない機能をマイコンに付加し、あるいはコアの機能を強化したりバックアップしたりするための「周辺回路(peripheral circuit)」の組み合わせやな。せやから、マイコン設計はまずコアを作り込むことから始まると見てまず間違いない。要求される処理能力(ビット数など)の違いによって、フラッグシップコア・上級品コア・中核品コア・普及品コア・ローエンドコアなどが設計・開発されることになるが、それはパソコンのCPUコアとかとまあ大差はあらへん。CPUでは集積度向上の頭打ちを迎えたことで、周知の通り、このコアの数を増やすことで処理能力アップを図っとる状況にある。コアは周辺回路よりも作り込みが大変なんで、これのマイナーチェンジによる品種・品番の派生はまずない。

 これらのコアに周辺回路を適宜付加して製品化するんやが、この周辺回路の種類や搭載個数なんかによって、様々な派生品がでけあがんねんな。カスタマイズは、この周辺回路の仕様を如何に顧客希望の仕様に合わすかによってなされる場合が大半で、コアにまで仕様変更が入ることは稀である。


 今回、こないな製品開発体制をとっとったんが、いわゆる半導体不足につながった。大体において、マイコンとかに使われるICのパッケージは、その多くが規格化あるいは標準化されとって、違うんはビミョーな電源電圧とかクロック周波数とかピン配置とかにとどまるんが普通や。せやから、顧客の最大公約数的な電源電圧・ピン配置の製品を少数揃えといて、そん中から顧客に選んでもらう体制でおったら、生産拠点の集約やリスク分散かてでけたはずやねんやんけ。わしに言わしたら、社員にしょうもない周辺回路の少しの入れ替えなんぞさす余裕あんのやったら、CMOS集積回路の弱点や言われるサージ電圧耐性やらラッチアップ(寄生サイリスタによる異常発熱)やらの対策を考えさせれて言いたい。マイコンはケータイにも複数個入ってるんで、電池の寿命にかかわる消費電力も抑制しやんとあかんし、ケータイは通信機器でもあるんで、いらん電波出さんようにもしやんとあかんし、やらんならんことはようさんある。前にもちらっと書いたかもわからんが、集積回路設計現場の一番の問題は「設計あって開発なし」なとこや。人的資源のムダ使いも大概にせえ。