もう９月んなってしもたが、シロウトながらもまだまだ軍事についてこだわってみたい。今回は、旧軍の中・高等教育機関である陸士・海兵・海機に相当すると考えられる防衛省防衛大学校なる教育機関があるが、これがホンマに必要なんかてことに拘泥ってみたる。
核のボタン押したらお終い、核攻撃をしたとこは核の報復に係るスレッショルドが下がるちゅうことは、恐らく世界の軍人さんの共有する意識やろうとは思うで。ただ、暴走するかわからんのんもまた人間の業やから難しのう（せやさかい日本は北を警戒しとんねんやんけ）。
戦争が起こる原因は多々ある。民族主義の発露とか、軍事力の不均衡もせやし、覇権主義がそれやちゅうのんはわかる。せやけど、帝国主義の支柱が植民地主義であったんと同様、ヘゲモニズムにはそれを支える経済植民主義があんねんやんけ。しかもやな、古来、食い詰め者が大挙押し寄せたことを代表として、資源の涸渇が戦の一大要因であることは誰しも否定することとは違うやろう。資源いうたら石油とかウラニウムとか想像する人が大半や思うけど、食い物かて十分争奪の対象になるんやで。匈族の西漸も、ゲルマン族の南下かてせやんけ。そのうち、「水」かて争奪の対象になるかわからん。
せやさかいに、戦争を避けつつ、日ノ本の安全を確保するには、周辺諸国が何で困っておるんかについて絶えず気ィ配っとかんとあかんことになる。朝鮮半島が敵（敢えてどことは書かん）の手ェに落ったらわが国は喉元にナイフやさかい、韓国国民の好むと好まざるとに関わらずこのペニシュラには気ィつけやんとあかん。そもそも、朝鮮半島は一体になってこそ強国になれるものであって（ナンボ米の庇護下に置かれとったいうたかて、南半分だけでも先進国になれた大韓民国は驚嘆に値する）、南北分断だけでも北東アジアの不安定要因であることを懸念するものである（現今の、北朝鮮の存在が米中対立のバッファ層になっている事実を否定するものではない。韓国市民が米嫌いであろうとも、仮に南北統一が成れば、米中両陣営が、鴨緑江・豆満江を挟んで対峙する危険が待っとんねんさかいにの）。本来この半島は、北の森林が南の農工業を支えてこそ安定するモンなんちゃうんけ。
果たしてこないややこしい北東アジア情勢を、防衛大学校学生ないしはその卒業生に身に沁みて理解でけようかの？現代の戦争は、単なる軍事力の優勢だけで勝利を収められるモンと違て、ある程度、国際世論のコンセンサスを要するモンやねんぞ。せやさかい、単なる「外国嫌い・外人嫌い」なだけで防衛大入ったヤツ（こんなんようさんおる思うで）の出番はあらへん。
敵に勝つには、敵国の事情に通じておらなんだらあかん。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」て昔から言うやんけ（第二次大戦のとき「敵性語」やなんてねむたいこと吐かした日本は負けて当然じゃ）。いわゆる「第五列活動（平とう言うたらスパイ）」やら諸外国の様子を探るんは、外国の事情を知りたがっておる好奇心の旺盛な一般大学出身者にこそ相応しい仕事であって、仮想敵国を設定することを学業とする防衛大生には不向きなこととちゃうか。幕末の水戸黄門斉昭がごとき、外国・外人嫌いの出番は金輪際ない。
ほんで、戦争の起こる原因がヘゲモニーやら資源（食糧・石油・ウラニウム・飲料水など）の偏在やったとしたら、それを排除でけるだけの知識や知能を持ち合わせておる人間がトップにおったら、無益な師を防ぐことかて期待でけようが（政治向きの事かも知れんが、政治オンチでは万余の隊を率いる将の資格はナイ。ただ、軍事は政治の一部であって、憲法で文民統制としておる以上、現役自衛官が閣僚若しくは衆参両院議員たることは不適ではある。ちゅうか、昭和の誤りは、政治家に相応しからざる人材を軍部から多数招聘したことでもある）。しかもやな、これこそが肝心やねんけど、戦争ちゅうモンはの、起こすことよりもやめさすことの方が、人的なエネルギーようさん要んねんぞ。防衛大卒の集団にその能力があるんかどうか心許ないわいな。試験に合格した優秀な人材が官僚になるんは動かし難い事実ではあろうが、その官僚主導であったが為に前の大戦で敗戦を迎えたんもまた事実やさかいにのう。
結局、戦争のマネージメント能力は、「総合力」のあるなしに関わって来る。制服組トップの統合幕僚監部議長には、防衛大卒で統合幕僚監部学校で優秀な成績を挙げた幹部自衛官よりか、国家の安全に深く興味を抱いておる一般市民の方が向いとる思う。少なくとも、授業料も払わんで、しかも給料貰たあげくに任官拒否する卒業生が毎年ゾロゾロ出て来よる防衛大卒なんぞにこの国の安全を託する気ィなんぞ微塵もあらへんわィ。おのれらはせいぜい兵器の取り扱い技能でも磨いとれ。
