E-BOMBERのアホアホブログ

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わしの電子工学用語集(80)

真空ポンプは所望の到達真空度の他に、真空の質・排気速度・装置の規模・振動の大小とかによって使い分けられる。今回の項目の油拡散ポンプにも適切な用途がありそうや。

 

油拡散ポンプ

 

oil diffusion pump

 

真空ポンプの一種である拡散ポンプの代表例。到達真空度は 100nPa-1µPa 程度で、高真空及び超高真空システムのメインポンプに用いられる他、超高真空システムの補助ポンプにも利用される。

 

→拡散ポンプ

 

〔補説〕拡散ポンプ液に油を用い、これをヒータで加熱して蒸気にし、さらにその蒸気をジェットで超音速蒸気噴流にして真空容器に吹き付けて排気を行う。このとき、真空容器を水冷などで冷やしておくと、油蒸気が容器壁面で凝結して下に落ち、その油をまた加熱するというサイクルを繰り返す。液体窒素によるコールドトラップを用いれば超高真空の実現も可能となる。

 

臨界背圧が 10Pa 前後なので大気圧からの排気は不可能で、油回転ポンプを背圧維持用のポンプとして併用する必要がある。吸気口径を 1m 程度まで大きくすることができ、排気速度は数十~数万立方デシメートル毎秒の範囲である。

 

→油回転ポンプ

 

原理的に油を加熱するための起動時間を要し、到達真空度はターボ分子ポンプにやや劣るものの、比較的安価で振動が少ない利点もある。但し、油蒸気を用いるために真空の質はあまり良好ではなく、このためイオンポンプを併用する場合もある。

 

→ターボ分子ポンプ・イオンポンプ

 

(本文ここまで)

 

わしが都内某所で使わしてもうてた走査電子顕微鏡は、当初はこの DP で本引きをしとったが、観察中に電子ビーム照射されてる部分が油蒸気によるコンタミネーション(汚染)で暗なって観察しづらなる問題があった。そこで、イオンポンプを併用することで真空の質を高めることにして、コンタミによる見かけ上の分解能低下を防いどった。

 

電子ビーム露光装置ではコンタミは致命的になるんで、DP は使わんとターボ分子ポンプとスパッタイオンポンプで引いてたな。