吸収スペクトルは、物質構造解析や物質分析に用いられる。せやさかい、その基礎吸収スペクトルのデータを持っとくと、研究に何かと役立つ。
アーバック則
Urbach rule
物性物理学における経験法則の一。絶縁体に電磁波や放射線の波長(エネルギー E)を変化させつつ照射して得られる励起子吸収スペクトルにおいては、その低エネルギー側で指数関数的に減少する傾向がある。
〔補説〕多くの絶縁体では、低温領域を除いた吸収スペクトルの低エネルギー側で、
A = A0 exp [-σ(E0 - E)/kT]
で表される。ここに、A は吸収係数 (cm-1)、A0 は物質や温度により異なる比例定数、E は光子エネルギー (eV)、E0 は 0K における励起子の吸収ピークエネルギーにほぼ等しい値となる。k はボルツマン定数、T は絶対温度 (K) である。σは物質定数(スティープネス因子)で、1より大きい場合、励起子は自由励起子(ワニエ励起子)的で、小さい場合は束縛励起子(フレンケル励起子)的である。
→束縛励起子・自由励起子・励起子
吸収スペクトルの低エネルギー側のバンドテイルが上式のような温度依存性を示す理由は明らかではないが、励起子の結合エネルギーが励起子‐フォノン相互作用によって揺らぐことと関連していると思われている。
→フォノン
(本文ここまで)
光吸収・反射スペクトルは物質のバンド構造、励起子の自由度や光遷移確率などを調べるんに用いられるけども、そのためにはこのアーバック則と照合したりするんやろな。