E-BOMBERのアホアホブログ

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わしの電子工学用語集(8)

 電子工学は電気工学から派生した学問なんで、当然ながら電気工学との学際領域が多数存在する。今回出て来るアーク放電もそうや。

 その他にも、情報通信工学との学際領域も多い。これらは電気とは逆に電子工学から派生した学問で、この用語集でもかなりの数の用語を採用することになるやろう。


アーク

→アーク放電

少々順番がおかしなるけども気にせんで、先にアーク放電の項目を書いたろう。


アーク放電

arc discharge


 電極間の放電現象において、放電電流を上げて行った場合に起こる最終的な放電の形態。電極間にアーク(弧)状の火花が発生することからこう言われる。インダクタンスを含む回路を急激に遮断すると発生する高い誘導起電力によって接点や電鍵などに見られることがある。プラズマ分子の激しい運動により5000-6000Kもの高温な気体温度を作り出せるので、アーク溶接・アーク炉に応用される。また、陰極輝点([詳説]を参照のこと)は高輝度発光光源(アーク光源)に利用された。

[詳説]放電管の電極間電流を0から上げて行くと、電極間電圧の上昇が見られる初期励起(放電現象ではない)を経てタウンゼント放電が起こり、さらに電流を上げると、電極間の電荷量の増大でその電位分布に変化が起こり、陰極からの電流供給が増えて電圧が下がり、発光を伴うグロー放電に移行する。そこからさらに電流を上げると電圧の急激な上昇と電極の局所的な発熱が起こって電極材料の蒸発が起こるが、それがさらなる放電と放電電流の集中化を促し、陰極輝点というスポット状の光点が発生する。陰極温度が上昇すると陰極表面からの熱電子放出も起こるようになり、融点の低い陰極材料では電極表面に分布する空間電荷の効果による電界電子放出も加わって、これらによって電極間のキャリア密度が高くなる。
 電流を上げるとまず電圧は急上昇するが、電子の増加と電離の効果が蓄積されることにより電圧は急降下し(負性抵抗特性)、10V程度の低い電圧でも放電を維持できるようになる。ただし、アーク放電を作り出すまでに高電圧が必要となる。

[補説]水銀の液面の平坦性などを利用した水銀放電管は、アーク放電電流値を陰極近傍で補助放電させることにより制御でき、しかも逆相では放電しない整流性があるため、過去に水銀整流器(イグナイトロン・エキサイトロン)として交流電気機関車などに用いられた。しかし、水銀整流器は陽極が汚染すると逆方向に大電流が流れる(逆弧)ので保守の負担も大きく、保守がほぼ不要なシリコンpinダイオードの開発により取って代わられた。

(本文ここまで)

 放電は高電圧を使うさかい弱電屋にはあんまし馴染みはあらへんけども、真空放電の実験は中高生でもやるやろうし、光エレクトロニクスでもたまに触れられることもある。それに、他の電子工学用語集では数行で終わってまうことを、分かりやすさと詳しさを追求するために字数を費やすことをこの用語集では厭わんつもりや。