E-BOMBERのアホアホブログ

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速報・中共崩壊への道(15)

 中国の実情を知ろうと思ったら、いや中国に限らず何でもそうだが、できるだけ広い視野とさまざまな視座から観察する必要があることに異論はないだろう。しかしながら、例えば中国経済の見通しを語る文章の多くは経済の側面からだけの観察でしかなく、読むに値しないものがほとんどだ。

 ネットではそのような文章ばかり氾濫しているようなので、多角的に中国の現状を観察した書物はないものかと近所の本屋に探しに行ったところ、黄文雄「中国が世界地図から消える日~狡猾な中国ネズミは沈み行く船から逃げ出し始めた」があった。

 著者は台湾出身で日本に留学経験のある社会学者で、柏楊との共著「醜い中国人」シリーズなどでしられる。著者らの主張はこのシリーズから一貫して中国の「徳治(人治)」批判を続けているが、ここでもそれは変わらないようだ。また、「易姓革命」の中国よりも「万世一系」の日本が余程気に入ったらしく、居心地が良くてしかも中国本土よりも中国研究に関する文献が豊富な日本を離れたくないそうだ。

 世に数ある中国研究の書籍の中でも、本書は中国のことをかなり多くの面から評価を試みているのが特色で、なかんずく歴史的・地理的考察には目を開かせられた所が多々あり、読み出したらやめられなくなった。中国では未だに蜀(四川)と楚(湖北・湖南)が互いに敵視しあい、東アジアにおける経済センターの地位を上海・重慶(呉)と香港・広州その他の珠江デルタ都市群(越)とで争っているなど、三国時代から進歩がないどころか、言論統制に始まる中央集権化がより強化されつつあるなど、むしろ秦始皇帝の時代から退歩してるかのようであるなどと痛烈に批判している。帝都の宮城だけが豪奢で、地方は寒村ばかりで良かったのは王朝時代までで、地方分権をより推進しないと国力が増進しないのが近代の常識だが、そもそも中国人にとって国家意識などまるでないというから困ったものだ。それどころか、北京政府存続のために、むしろ地方分権を制限したいのが本音のようだからどうにもならない。しかも彼らの思考は非常に刹那的で、長いスパンで考えないといけない近代化などできそうもないようだ。無計画な工業化による環境汚染についても割と詳細に言及がなされており、この部分を読むだけでも中国の工業立国はもはや限界、というよりもどだい無茶な試みであることが理解できよう。

 しかも、経済的に成功したほんの一握りの中国人は、汚辱に塗れた中国に愛想を尽かして、または資金洗浄などの目的で稼いだ金を持って国から逃げ出すので、無辜の民がせっせと稼いでくれた金が国に落ちず、貧困層は貧困のままである。習近平でさえも家族を留学させるなどして脱出(亡命?)準備を整えた「裸官」であり、こんなのが巨大国家の舵取りをしている国の人民が哀れでならない。そればかりか、国際盲流は汚いゼニだけでなく、ペストやSARSなど病気までも持ち出す危険性があるのだから迷惑この上ない。

 さらに著者は、「中国を評価するとき、ほとんどの論者がその質よりも量を見て語る。これは、現代日本の文化レベルが劣化したゆえの一現象に思えて仕方ない」と、人が発表した数字しか見ないわが国の研究者や評論家連中に痛撃を浴びせている。いかに国土が広大であっても、それが荒蕪の地のままであれば意味がないし、人口が多すぎるのも考え物だ。加えて著者によれば、習近平や李国強ですら「中国の発表する数字は当てにならない」と公言して憚らないというのに、一体今の有識者はどうしてしまったのやら。数十年前に「今の若い人に欠如しているのは、中国の古典に関する知識だ」とある評論家が言っていたが、それから数十年を経て、「中国については何もしらん」のばっかりになってしまったのか。わしの勝手な推測ではあるが、これは単に娯楽が多様化して知識人が勉強しなくなったことばかりではなく、戦後に私立大学が隆盛したことによって国公立大学も安易にそれに追随してしまい、受験戦争の激化もあって近現代史の知識や国語力など勉強に必要な素養をなおざりにした結果なのかもしれない。今のうちにこれを改めないと、国内に国際オンチの人材しかいなくなるぞ。