E-BOMBERのアホアホブログ

アホなことであろうが何であろうが、わしは書きたいことを書く。ガンバレ○神タ○ガース!

高速無料化は天下の大愚策

 既得権益を守ることに汲々としとった自民・公明連立政権が倒れたことは慶賀に堪えないが、せやから言うて、民主・社民・国民新連立政権の政策に全面的に賛成する訳にはいかんわな。特にあかんのが、例の「高速道路無料化」やな。


 「物流コストが下がって景気刺激になるのではないか?」


 高速の交通量が現状のままやったらその通りやろう。せやけど、無料になったら、これまで高速を利用せなんだ衆かて使うことになる。休日千円にした途端あの有様や。通勤・商用で高速代を節約して下道走っとったんが高速乗り出したら、平日かて混み出すど。結局、物流のトラックとかも昼間に思うように走れんようなり、交通量の少ない夜間走行を強いられることになるやろう。運転手の労働条件の悪化に、普段高速に乗りなれとらんクルマの急増と相俟って、事故が増加することを指摘する声もある。道路輸送の信頼性が相対的に低下して、鉄道・船舶輸送が復権することも考えられようが、あんまし健全なモーダルシフトとは言えんのう。

 高速には路線バスも走っておるが、渋滞が常態化したら誰も乗ってくれんようなって、バス会社の倒産が相次ぐ危険性も見逃せん。もっと問題なんが、環境に与えるインパクトがクルマより小さい鉄道・船舶の経営が左前になるこっちゃし、ナンボ天下りの受け皿やいうたかて、高速道路会社の職員が大量に失職するんはまずいやろ。

 

 「料金所がのうなって渋滞が減る」


 料金所の出待ちのクルマが渋滞の原因になることは否定はせん。ただ、無料化したら、そんなんを遥かに上回る台数のクルマが押し寄せるさかい、焼け石に水どころか却ってえげつない渋滞になるわ。

 一体、鉄道に「線路容量」があるんと同様、道路にも「道路容量」ちゅうもんがあって、これを超えるクルマが押し寄せたら、高速走行に必要な車間距離が保てんようなって、渋滞がおこる。こんなん、道路工学では当たり前の話であるが、これがどうも一般人には理解でけんみたいや。前原国交相は鉄道マニアやそうやさかい、コレぐらいのこと知ってて当然やろうがのう。


 「高速が渋滞しても下道が空くから、炭酸ガス排出量は増えない」


 これも科学的根拠に乏しい、無責任な意見やろう。高速は一旦乗ってしもたら、検札料金所やSA・PA休憩を別にして、相当長距離をノンストップで走れる。わしには自動車工学の知識はあらへんが、クルマにしたところで航空機同様「巡航速度(燃費最低の運転速度)」があるはずで、飛ばしすぎだけやなしに、ノロノロ運転や信号待ちとかの停止は、当然燃費を落とす。高速無料化の結果として炭酸ガス排出が3割ほど増えるとの国交省の試算もあるらしい。今まで高速を走っとったトラックが下道に移動しただけでも、炭酸ガス放出量が増える可能性すらあるとわしは考える。クルマは停止状態から動き出すとき一番エネルギーを消費するさかいにの。


 「高速千円にしただけで観光客は明らかに増えており、景気対策に有効であることは立証された」


 これが動かしがたい事実であることはたしかや。せやけど、これはクルマを持たん低所得者には全く利益があらへんこっちゃし、鳩山総理の言う「25%削減」にも真っ向から矛盾する(わしは、炭酸ガス地球温暖化の主因やちゅうことには懐疑的ではあるが、省エネには大賛成や)。低炭素で観光客を増やすには、鉄道や船舶の運賃・料金を下げる必要があるが、それらの会社に税制優遇するとか、異なる会社相互間の乗りかえ割引を積極的に行えるような施策を行うとか、打つ手はナンボでもある。


 そんなんよりもっといかんのんは、過去に建設した高速の債務償還に、巨額の予算を計上しやんとあかんこっちゃ。そんでのうても年金・医療保険・農家戸別補償その他諸々の財政出動しやんとあかんのに、これ以上赤字国債を濫発されたらかなんがな。全国にいらん道路造りくさった自民は許せんが、東国原英夫・宮崎県知事待望の「東九州自動車道」みたいに、必要やのに未開通の道路はまだあるねんぞ。わしは「受益者負担万能主義者」とは違うけどな、クルマのあらへん低所得者からしたらこないナメられた政策あらへんわい。税負担増える分むしろ損すんねんさかい、タダ程高いモノはなしや。


 要するところ、高速料金タダにしたかて、エエことは一つもあらへん。鳩山政権もマジで景気と低炭素を両立したいんやったら、「船舶コンテナ航送料金・旅客運賃を全国一律千円、鉄道旅客運賃・コンテナ・ピギーバック輸送料を1日二千円」ぐらい言うてみィ。わしかてマニフェスト違反やなんてセコいこと言わんわ。おかしいんはマニフェストの方やろが。