2009年初春、〇阪府知事・橋本英夫氏は、定例記者会見席上で語った。
「お笑いの世界で食べて行ける人は、たとえ〇阪人であってもほんの一握りだ。だが、お笑いは〇阪にとって絶対に後世に遺すべき貴重な文化遺産であり、その担い手が〇阪人から多数出て欲しい気持ちはある。しかるに、今の〇阪人の若者のお笑いのセンスは、私の目から見てまるでなっていない。ですから、やはりお笑いのセンスのある人材が育つ環境を整えないといけない。お笑いセンスのある〇阪人が育つのを妨げている一番の元凶は、はっきり言って‥‥‥」
知事は一息ついて、そして声を励まして、
「しょうもないこと言いです」
記者席からどよめきが上がった。しょうもないこと言いの身に覚えのある記者が知事の発言を遮った。
「ですが知事、そんなこと言うたら〇阪人のほとんど全部がしょうもないこと言いですよ」
即座に知事が応じた。
「それは端から承知の上です。ですけれども、程度の極めて低いしょうもないこと言いは、周りにいる人のお笑いセンスをわやくちゃにしているのです。これは放置できない問題です。そして、喫緊の、極めて急を要する問題なのです」
知事は発言を続けた。
「こういう現下の状況にあって、府としては厳正に対処しなければならない。私はここに知事の権限において‥‥‥」
知事は再び大音声で、
「しょうもないこと言い撲滅条例案を、次の府議会に上程いたします」
今度は記者席から喚声が上がった。
「おい、また橋本がとんでもないこと言いよったぞ」
「言論の自由、ちゅうか表現の自由はどないなるんじゃい?憲法違反やぞ」
「麻田空港廃港撤回のこと、まだ懲りてへんのんかい」
「いつもムチャいう知事やけど、今度こそホンマにどないかなったんちゃうか」
別の記者が質問した。
「知事、これは各会派の了承を予め取りつけておられるのですか?」
「いや、取っておりません。すべて私の一存からです。ですが、既に正副議長への報告も致しました」
知事はさらに続けた。
「この条例案には、罰則規定を盛り込んでおります。つまり、しょうもないこと言いには刑事罰が下ることになります」
三度記者席がざわめいた。ここで、記者の一人が質問した。
「一体どの程度の罰則を考えておられるのですか」
知事は言い放った。
「懲役十年」
「なんやてェ?」
「ムチャな条例案やな。うちの調査で81パーセントの支持率がこないけったいなことを言わせてるんやな」
「いずれにせえ、これはむっちゃえらいニュースやな、地方版でも一面やな。大阪管内のセット版はトップや」
「うちは地方版もトップでいくぞ」
「橋本知事ついにご乱心・しょうもないこと言いにいわれなき受難、とでもしとくか」
騒然とした中、司会役の府職員が、
「ではこれにて、定例記者会見を終了いたします」
と、会見終了を告げた。
記者席からは、
「知らんぞー、知らんぞー」
(つづく)
うーん。勢いでとんでもないブログギャグ立ち上げてしもたけど、これから先一体どないなるんやら、書いてるわしにもさっぱり見当つかんわ。