E-BOMBERのアホアホブログ

アホなことであろうが何であろうが、わしは書きたいことを書く。ガンバレ○神タ○ガース!

堕ちた正義の使者

 76年、角さんがロッキード事件で小菅にブチ込まれた直後、「週刊朝日」に「正義の使者」(百目鬼恭三郎)なるタイトルの小記事が載ったが、今回は、これに若干のデフォーメーションポテンシャルを印加した一文を載せることにしよう。


 小沢一郎・元民主党幹事長が強制起訴されるちゅうんで、世間ではまるで陸山会事件が片づいたみたいな騒ぎかたしとるが、わしはこんな程度で騒ぐんはアホや思う。わしゃ聖人君子とはほぼ対蹠的な人格しか持ち合わせてはおらんが、君子は付和雷同するもんとは違う。


 大体やなあ、刑事事件ちゅうモンはの、罪刑が確定してはじめて黒白がつくモンやろが。裁判前の段階では、被疑者には抵抗する手段がいっこもあらへんさかい、一方的に検察が勝ったように見える。いや、今回の場合は東京第五検察審査会の「起訴相当」の判断によって強制起訴されてんさかい、検察の出番はあらへんで、東京地裁が指名した弁護士が検察官役か。せやさかい、ここでもう悪者は退治されたみたいな気分になるんは、軽率ちゅうのんも愚かやろう。


 言うまでもなしに、裁判になったら被告かて防戦でけんねんから、ホンマの戦いはこっから始まるんやんけ。不正利得の立証はとりわけむずかしいから、検察役の弁護士にしたかて、決して楽な戦いやないし、ましてや、一度検察がサジ投げよった案件やし、むしろ勝ち目は薄い。○神がCS第2ステージ突破するんよりもむずかしんと違うか?従って、真に陸山会事件の解明を願う人は、裁判の段階になってから最大の関心を払うはずやろう。いまワーワー騒いどる手合いは、判決が出るころには、おおかたこの事件そのものさえ忘れとるわい。


 大阪地検特捜部による村木前局長冤罪事件、それに伴う証拠改竄・犯人隠避事件を知ったからには、世間では、検察を正義を遂行する使者、ウルトラマンみたいに賛美する衆は一時的に激減するやろうが、リクルート事件の頃、大阪の某TV番組「晴れときどきた○じん」で、「ガンバレ東京地検特捜部」ちゅうのんやっとってんから、検察に対する国民の潜在的な期待が、疑獄事件の度に盛り上がる現象はこれからもまず間違いなしに起こるやろう。せやけど、それを差っ引いても、わしはやっぱし検察官をそないに信用でけん。彼らが正義を遂行しようとする情熱を疑うんとちごて、情熱の余り、正義をかちとろうとして暴走する危険があるからである。今回逮捕された大阪地検の特捜検事かてまさにそれやろう。


 検察官が時に正義にもとるでっちあげをやる例は「帝人事件」を挙げれば十分やろうが、本田靖春不当逮捕」に出てくる岸本義広・東京高検検事長みたいに、おのれが検察の頂点を極める目的で、岸本のライバル馬場義続・法務事務次官の手下の検事の誰ぞが、読売新聞記者に「売春疑獄」に関して二国会議員国会召喚の情報を漏らした(国家公務員法違反)ことをキャッチするや、この記者を、証拠湮滅の虞があらへん(既に記事化されとるのに、湮滅もクソもあらへんがな)にも関わらず逮捕して、馬場派の誰から聞いたんか吐かせようとしたことあるんやんけ。ニュースソースの隠匿は、記者の最低の倫理とされておるが、岸本は「そないな慣習は変えていかんとあかん。法律にも書いてあらへんのや」て吐かしよった。この記者は結局口を割らぬまま釈放されたが、件の二議員が召喚されんかったんで、読売は訂正記事掲載を余儀なくされ、彼は事実上記者生命を断たれ、失意のうちに死んだ。


 「情報源の秘密は絶対とは違う」ちゅう判例も出てはおるが、これがなかったら健全な報道なんかでけるわけあらへんねんさかい、岸本のやりよったことはおっとろしいこっちゃった。こんなんで検察官を正義の使者やなんて到底言えんわな。検察官が正義の使者やったら、そもそも裁判なんかいらんがな。


 ほんでから、検察官かて、おのれが世直しの推進者やなんて思たらあかん。帝人事件は、検察ファッショ勢力が、斎藤実内閣打倒・平沼騏一郎首班成立を目論んでフレームアップしたちゅう疑いが濃厚やそうや。そういえば、岸本はたしか平沼の子分やったんと違うかなあ?


 検察は、戦後、検察ファッショ勢力が放逐されたからとて、その本質はあんまし変わってへんのんと思われる。今回の不祥事は、その本質が端無くも現れたに過ぎない。