E-BOMBERのアホアホブログ

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「新しいみんなの公民」もあかんかった(6)

 少子高齢化は何も現代人の気質の変化や社会保障制度の整備の遅れだけが原因ではあらへんやろう。ほな他に何が原因やて聞かれたら、今から30年ほど前に、辛口書評家の千面鬼狂三郎いや百目鬼恭三郎が著した「たった一人の世論」(「新聞を疑え」所収)の一文を紹介することでそれに代える。




「(前略)私はかねてから子供の事故死に対して損害賠償を請求する風潮に疑義を唱えている。この風潮がひどくなれば、公園の池は子供が落ちないように厳重な柵をしなければならなくなり、景観は台無しになってしまうだろうし、修学旅行も、事故があった場合の責任をおそれて、引率する教師がいなくなってしまうだろう。




 それどころか、たとえば、自分の子が小さい従弟妹を連れて海に泳ぎに行くことも、絶対に止めさせなければなるまい。万一、連れて行った子が溺死でもしようものなら、民法第七○九条ないし同七一四条の規定によって、自分の子の代わりに親はその損害を賠償しなければならないのである。




 また、自分の子が大人になってからでも、まだ安心はできない。わが子が何かのはずみで人を殺して、その罪をおそれて自殺したとする。すると、殺された被害者の両親は、加害者の遺族である自分に対して、損害賠償を請求してくるに違いない。そんな心配をしなければならないとしたら、子供をもったら最後、親は一日として気の安まる日はないわけだ。安気な生涯を送りたかったら、子供をもたないに限る、というような時代に近づいていることに、私たちは気づくべきである(後略)」




 30年も前にこのような予測を立ててて、それが的中したて思われんねんさかい、これは刮目してかからんとあかんわな。わしは、これこそが少子高齢化の主たる原因やないかて思うねんやんけ。そんでのうても、小売業界はクレーマー対策に苦しみ、学校はモンスターペアレントに悩まされる有様なんやからの。




 そもそも、命に値段をつけるやなんてことでけへんし、でけたとしてもそんなんしたらあかんことは当たり前のこっちゃんけ。ただ、「人間の命は地球より重い」言うて人質取ったテロに屈することはでけんのは、テロリストは今後も人を殺す可能性が高いからや。アルジェの事件で人質に死者が出たんは作戦の失敗やろうし、ドイツのGSG9の成功例もあるこっちゃから無念としか言いようがあらへんの。




 少々話が脇に逸れてしもたが、現在の日本の司法も立法府少子化に手ェ貸しとる可能性があることだけは指摘されやんとあかん。人が死んで損害賠償を請求でけるんは、その人が死ぬことによって遺族が現在において経済的に困窮する場合に限るぐらいのことしやんと、少子高齢化に歯止めがかかることはあらへんのではなかろうか。わしも百目鬼同様、人の命に値段がつけられることを悲しむものである。(つづく)